脱! 下請型製造業 資材メーカー生まれの玩具「B-Block」

視点を変え、二年間動かなかった商品が変貌!
コンセプトは「認知症予防リハビリ玩具」?
仮説と検証からCTを見直し、「2歳になったらB-Block」というキャッチフレーズに・・・
展示会を軸に前後のPTも精緻に組立て、4つの展示会で1,100万円超達成!

(2007年 企画塾出版部 増販増客実例集より抜粋)
こちらの事例は、イワサキ経営グループ/株式会社イワサキ経営 宮口巧様(静岡県沼津市)が2007年に取り組まれたものです。


 日本全国津々浦々に存在する製造業。そして多くの製造業の課題は「脱!下請」または「自社商品の販路開拓」です。これから紹介する「株式会社桑原嗣商店」もこの2大課題を解決すべく開発した自社オリジナル商品「B-Block」の販路確立に悩んでいました。

 製造業者が営業する場合、商品を取り扱ってくれる問屋や販売店へ「ウチの商品はとても良い商品です。ぜひ取り扱ってください。」と、営業するのが一般的です。ところが、開発者にとっては、当然素晴らしい商品でも、問屋や販売店にとっては、数ある商品の中の一アイテムにすぎません。積極的に販売促進することもなく、商品が動かなければ即取扱い中止。「B-Block」も例外ではありませんでした。

 私は静岡県内企業の経営支援機関である「しずおか産業創造機構」が行う、県内企業の経営を支援するための具体的施策「専門家派遣事業」を通じて、「B-Block」と出会いました。

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 そこで「B-Block」の開発者であり、製造元の「桑原嗣商店」の社長と、エンドユーザーに自社が直接販売するという新たな視点、つまり「顧客目線」でのマーケティング展開に取り組みました。

 「B-Block」は本業で加工しているサンダルの底材EVAスポンジを環境と人体に無害の素材に改良し、積み木のおもちゃとして開発したものです。もともと子供のおもちゃとして売り出した「B-Block」でしたが、お年寄りの認知症防止に効果がありそうだ、という情報を得て、コンセプトを「お年寄りの認知機能回復」、ターゲットを「老人介護施設」に設定し、一年間プロモーションしていました。ところがなかなか売れません。

 これを「顧客目線」のコンセプトとターゲットに設定し直すところから、再度マーケティング展開を立て直しました。


 子供の来場が比較的多い展示会に出展し、子ども達にこの「B-Block」で遊んでもらったところ、これが大好評でした。一緒に遊んでいた父兄に感想を聞き情報収集した結果、コンセプトを「軽くて柔らかくて安全な知育玩具“B-Block”」と位置づけ、キャッチフレーズを「二歳になったらB-Block」とし、このコンセプトとキャッチフレーズを軸に、2006年11月から名古屋、東京、静岡県内と4回の商品展示会に出展、積極的なプロモーションを展開しました。


IMG_1146.jpgIMG_1177.JPGのサムネール画像
 展示会出展の目的は、「B-Block」の認知度アップとエンドユーザー、保育園や幼稚園などの施設への販路獲得です。さらに、展示会で名刺交換した様々な企業の方には、展示会終了後お礼状やサンプル請求ができるハガキを送付。同時に次回の展示会案内や取引商談状況などをお知らせしました。最初の展示会ではさほど反応のなかったお礼状でしたが、回を重ねるごとに徐々に資料やサンプルの請求、さらには直接お電話をいただき、積極的な商談に発展するケースが増えてきました。

 展示会での名刺交換で継続発信できる母数を獲得。お礼状を含めた情報提供。さらに展示会を重ねるごとに獲得する継続発信の母数。このような活動を繰り返すことで、「3K(継続発信=お礼状+情報提供 高質接触=展示会 個別対応=個別の商談等)」のサイクルが確立していきました。

 新たなマーケティングが展開される以前は、商品の認知度が上がらず、販売への動きも見られませんでした。

 東京で開催する大集客の展示会では、多くの人がブースを訪れ、出展している商品に対する意見が交わされます。「桑原嗣商店」も、様々な情報交換をしていく間に、もともとのコンセプトとターゲットにズレが生じたことが、その大きな原因だったのではないかと考えられます。本来商品が持つ魅力は、子ども達に楽しんでもらう「玩具」としての魅力でした。しかし、販路が獲得できないことで、玩具としての市場より、はるかに訴求力が薄く、狭い市場にコンセプトとターゲットを変更してしまったのです。さらに展示会に出展後、興味を持った来場者に対し、精度の高い事後フォロープロセスがなかったのも売れない原因の一つでしょう。

 さて現在の成果ですが、2月中旬に開催された展示会の事後フォローツールに反応が高く、フォローハガキ138通に対し、サンプル請求をされた反応は30件。その30件から9件の積極的な商談が進められています。

 また、この反応の中から具体的な販売につながった金額は110万8,000円(素材供給などの周辺商品も含む)、入金ベースで金額が把握できない9件の具体的な商談からの売上は、今後も十分期待できる数字にまとまっていくと思われます。(2007年3月末現在)

 商品力が高く、エンドユーザーに向けての訴求効果のある商品こそ「買ってくれるかもしれないお客様」へ向けてのマーケティング展開が販売店を動かし、商品を販売へと結びつける結果につながります。自社の商品はいったいエンドユーザーの何にメリットをもたらすのか? 販路拡大に悩む製造業者が最初に考えなければならない最大のテーマです。

 また安易な展示会への出展も見直し、再度展示会出展への「目的」や「目標」を実現させるための戦略を考えてみる事をオススメします。

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このページは、高橋憲行が2013年5月17日 10:16に書いたブログ記事です。

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