雪また雪……そういえば酒田への道
■雪また雪……そういえば酒田への道
今朝(2月13日/土曜日)の東京は雪が降っていましたね。2月2度目の雪ですが、2月1日から2日にかけて降った雪よりは、ちょっとささやかでしたが、しかし東京はこの冬一番の冷え込み……って感じですね。
雪を見ると、ふと私の田舎、山陰は鳥取を思い出しますが、さらに年末、山形から酒田への雪の光景を思い出しました。
これはそのときの写真です。仙台の阿部ご夫妻の車に乗せてっていただいて、さらにはアルケッチャーノにも行きました。
山形から酒田へと向かう途中の山中を車で越えるときの光景ですが、まるで水墨画のようなモノトーンです。
■江戸の最高レベルの『ビジネス知性』を産んだ酒田
江戸時代の酒田は、日本海側の西回り航路の重要な拠点で、廻船問屋や米問屋を中心に豪商を輩出しています。『西の堺、東の酒田』といわれたといいますから、その繁栄のレベルがわかるでしょう。今日には、その面影は少なくなっていますが、やはり町のあちこちに昔の佇まいはあります。明治27(1894年), 年の庄内大地震での倒壊と消失、さらには昭和51年(1976年),の酒田の大火の際に、そうとう失われたようです。
その古い佇まいのひとつ、廻船問屋の『鐙屋』に行きました。
古い旧家がそのまま残っていて、なかなかいい雰囲気でした。じつは私の実家は、お寺(曹洞宗の禅寺)なもので、こうした造りの旧家を観ると、古い自分の育った家のイメージと変わらないものがあちこちにあるので、非常に懐かしさを感じてしまいます。
畳敷きの床、縁側、固めてある土間、透明なものの平滑ではなくて向こうがゆがんで見えるガラス戸(これがかえって風情がありますね…)……、どれも私の幼少期の原風景そのもの。
いやはや懐かしかったですね。
さて、さらにいくつかの旧家をみたのですが、中に入れなかったのが、最後の2枚の写真の『本間邸』
外側からしか撮影できなくて、ちょっと残念でしたが、また来てみたいところですね。
『本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に』といわれた本間家は、つまりは殿様よりも大きな存在だったことを意味しますが、現実に、本間家は、庄内藩の財政も任されていたことでも有名ですね。
庄内藩は、9代藩主・酒井忠徳(さかいただあり)の時代に、財政危機に陥るものの、本間光丘の登用で危機を乗り越えるなどしています。本間家、3代目当主の光丘は、天明の大飢饉(江戸中期の1782年~88年にかけて全国各地で冷害による不作と飢饉が発生)。庄内では1783年が厳しかったらしいが、その際、光丘は備蓄米を2万4千俵を放出し庄内では一人の餓死者を出さなかったというから、並の金持ちではなく、慈善家としても相当な人物だったようですね。
この光丘の叔父にあたるのが『相場の神様』『出羽の天狗』といわれる本間宗久(そうきゅう)。
米どころの酒田、そして大阪、江戸の米相場を動かし、テクニカル分析の先駆けとして天才的な『酒田五法』を考案、経済史にも名を残してますから、これはすごい。
ところで、一説に、株価の表現に使われるローソク足は、彼の発案という説もあるが、これはちょっと違うらしい。しかし彼の戦術の延長線上にあるのでしょうね。
当時の江戸、大阪は世界的にも非常に大きな経済都市として発展しており、先物取引所としての『米会所』があった。
その最初は、幕府公認の大阪の『堂島米会所』。もっともそれ以前から『米手形』として実質的な先物取引は行われていたようですね。
これより早いのは世界的にはベルギーのアントワープに商品取引所があったようですが、日本の堂島米会所のシステムは非常に完成度が高かったようですね。
ところで、この本間家の繁栄を産んだのは、じつは大岡越前守忠相、つまりは御奉行様。
大岡越前は、お白州の裁きなどがイメージに焼きついていますが、これは、ほとんど史実とは違う。
彼は、じつのところなかなかの政策、企画のプロですね。
徳川吉宗の治世下、新田開発や町火消し制度、小石川養生所の創設など、じつにいろいろやっているが、米が通貨の代わりをしていた江戸時代、武士の給与は、いわゆる石高。
この米が新田開発で生産過剰となり米価が下がるなど不安定になり、武士の生活が困窮する。これが米手形などでアップダウンするといわゆる通貨危機。
米価(すなわち通貨)を先物取引も含めて、安定的にコントロールする手段として、堂島米会所が幕府の管理下で行われるようになった。で、その米会所での取引や、酒田の現物米の取引などを含めて、現在のトレーダー顔負けのことをしてたわけです。
当時は、ネットも電話もない時代。おそらく飛脚や手旗、のろしなどの手段を使ったのでしょうね。
なんて考えながらの酒田でしたが……
明日も雪なんでしょうかね……
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